【小学校】いじめ防止基本方針

松阪市立伊勢寺小学校 いじめ防止基本方針

平成26年6月18日策定

はじめに

    いじめは、いじめを受けた児童生徒の心に長く深い傷を残すものであり、人間として絶対に許されない人権侵害である。また、いじめはどの学校にも、どの学級にも、どの子どもにも起こり得るものであるという基本的認識の下、日常的にいじめの未然防止に取り組む。本校児童が、楽しく豊かな学校生活を送ることができるよう、いじめのない学校づくりを進める。

1 いじめの定義といじめに対する基本的な考え方

(1)いじめの定義

    「いじめ」とは、児童に対して、当該児童が在籍する学校に在籍している等当該児童と一定の人的関係にある他の児童が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童が心身の苦痛を感じているものをいう。
    個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた児童生徒の立場に立つことが必要である。
(「いじめ防止対策推進法」より)

(2)いじめに対する基本的な考え方

    いじめはいじめを受けた児童の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は心身に重大な危険を生じさせるおそれがあります。
    したがって、本校では、全ての児童がいじめを行わず、及び他の児童に対して行われるいじめを認識しながら、これを放置することがないようにするため、いじめが児童の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童の理解を深めることを旨として、いじめ防止等のための対策を行うこととします。

2 学校におけるいじめ防止等の対策のための組織

    いじめの防止等の取組を実効的に実施するため、次の機能を担う「いじめ等防止対策委員会」を設置する。

(1)いじめ等防止対策委員会の構成員

    構成は、校長、教頭、生活指導担当教員、養護教諭、教育相談担当
    ※必要に応じて、スクールカウンセラー、PTA役員、学校評議員、その他校長が認める者とする。

(2)いじめ等防止対策委員会の活動内容

①生徒指導年間計画の作成・実行・検証・改善に関すること
②いじめ防止に係る研修会等の企画・運営に関すること
③いじめの未然防止に関すること
④いじめの早期発見に関すること
⑤いじめの早期解決に関すること

3 いじめ防止等の対策のための具体的な取組

(1)いじめの未然防止のための取組

    いじめはどの子どもにも起こりうるという事実を踏まえ、全ての児童を対象に、いじめに向かわせないための未然防止に取り組みます。

【具体的な取組】

①互いを認め合える人間関係をつくります。

  • 児童会が中心となり、「ストップ!ザ いじめ」をテーマに話し合い、児童一人ひとりがいじめをなくす宣言文を考え、取り組みます。
  • 心の通じ合うコミュニケーション能力を育成するため、計画的に社会体験や交流体験に取り組みます。
  • 体験活動を通して、友だちと分かり合える楽しさや喜びを実感させるとともに、表現力やコミュニケーション力を育成します。
  • 構成的グループエンカウンター(本音を表現し合い、それを互いに認め合う体験活動)の手法を取り入れ、児童が本当の自分を見つめたり、豊かな人間関係を構築したりします。
  • 全校集会や学級会、縦割り班(なかよし班)活動を通して、児童自らが、人と関わることの喜びや大切さに気づき、互いに関わりながら絆づくりを進めます。
  • 各教科や総合的な学習の時間等において、グループやペアでの活動を取り入れることにより、互いの良さを認め合い、高め合う集団づくりを行います。
  • 道徳の時間に教材を活用し、人権尊重の精神や思いやりの心などを育てます。
  • 情報モラル教育を推進し、携帯電話やインターネットの正しい利用法や危険性についての理解を深めるとともに、相手を思いやる気持ちを育てます。
  • すべての教員が公開授業を行い、互いの授業を参観し合う機会を位置づけ、子どもの様子を観察したり、授業改善を行ったりします。
  • 学級満足度調査(Q-U)結果を考察し、その対応策(学級集団の背景、学級の成果と問題点、教師の観察との共通点及び相違点など)を考え、職員研修で共通理解を図るとともに、よりよい学級経営に努めます。
  • スクールカウンセラーやハートケア相談員等と関わる時間を設定し、教育相談の充実に努めます。

②自己肯定感や自己有用感を育成します。

  • 道徳の授業を通して、児童の自己肯定感(自分はかけがえのない存在であると思う気持ち)や自己有用感(自分は人の役に立っていると思う気持ち)を育成します。
  • だれもが1日1回、みんなの前で活躍する場面をつくり、一人ひとりのよさを心から認め合う学級づくりを進めます。
  • わかる・できる授業の実践に努め、児童一人ひとりが成就感や充実感をもてる授業の実践に努めます。
  • 縦割り班(なかよし班)活動や委員会活動等を通して、人と関わる喜びや大切さに気づき、人の役に立っている、人に認められているといった自己有用感を獲得させます。
  • 地域貢献活動を通して、地域の方々とふれあい、自分も社会の一員として必要な存在であることを気づかせます。
  • 「いのちを見つめる強調月間」の活動を通して、いじめ防止や生命尊重等をねらいとした道徳の指導や取組を実践します。
  • ソーシャルスキルトレーニング(人とうまく関わる方法を身につけるための練習)を行い、自分と他人では思いや考えが違うことに気づくとともに、他者から認められる自分が存在することを感じさせることにより、自尊感情(自分には価値があり、尊敬されるべき人間であると思える気持ち)を育みます。
  • キャリア教育(勤労観、職業観について捉え直し、一人ひとりの社会的・職業的自立をめざす教育)を通して、仕事(職業)に興味を持ったり、働くことの意義を学び将来の自分の生き方を見つけたりできるようにします。
  • ライフスキル教育(人間関係など日常で体験する様々な困難をうまく乗り越えるために必要な力をつける教育)により、社会生活上のマナーを身につけ、他者を尊重し、良好な人間関係を築くことを通して、自己肯定感を養います。

③家庭や地域と連携して取り組みます。

  • 懇談会等で、保護者と児童が「インターネットの利用」や「携帯電話・スマートフォン等の使用」のルールづくりを親子で考える機会を提案します。
  • 「学校いじめ防止基本方針」をホームページで公開し、いじめの未然防止、早期発見・早期解決における学校の役割、家庭の役割、地域の役割についての理解を図ります。
  • 学校だよりや学級通信等で、本校の道徳教育や人権教育の取組を紹介し、家庭と連携し、児童の健全育成に努めます。
  • 人権講演会に参加したり、学級懇談会を開催したりして、教職員と保護者が子どもたちの人権を守るためにできることを考えます。
  • 「子どもは地域の宝」という考えのもと、家庭や地域においても子どもが活躍する場を保証します。

(2)いじめの早期発見のための取組

    いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気づきにくく判断しにくい形で行われることが多いことを 教職員は認識し、ささいな兆候であっても、いじめではないかと疑いを持って、早い段 階から的確に関わりを持ち、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極 的に認知します。

【具体的な取組】

①いじめを相談しやすい体制を整えます。

  • 教師と子ども、子どもと子どもの信頼関係を深め、悩みを一人で抱え込まず、誰かに相談することができるようにします。
  • 日頃から児童の見守りや信頼関係の構築に努め、児童と向き合うことにより、児童が示す変化や危険信号を見逃さないようにアンテナを高く保ちます。
  • 気軽に相談できる窓口を設け、児童、保護者等からいじめを訴えやすい体制を整えます。
  • スクールカウンセラーやハートケア相談員、教職員による教育相談日や教育相談週間を設定し、積極的に相談活動を行います。
  • 相談室や相談コーナー、相談ポスト等を設け、子どもたちが利用しやすい雰囲気づくりをします。

②いじめを把握します。

  • 「児童のささいな変化に気づくこと」、「気づいた情報を確実に共有すること」、「(情報に基づき)速やかに対応すること」を基本として、いじめの把握に努めます。
  • 5W1H(いつ、どこで、誰が、誰と、何を、どのように)を付箋紙等にメモし、職員が打合せ等で情報共有できるようにします。
  • 授業の様子、保健室の様子、清掃活動の様子等、より多くの教職員が児童を見守り、情報を共有します。
  • 定期的なアンケートに加え、担任や養護教諭、スクールカウンセラー等による教育相談を充実させます。
  • 連絡帳や日記、日頃の声かけ等により、子どもの交友関係や悩みごとを把握します。
  • 「学校生活に関するアンケート」を年2回行い、児童の悩みや人間関係を把握し、いじめのない学校づくりを目指します。
  • 学級満足度調査(Q-U)の児童の回答状況から、「いじめや冷やかしなど不快行為をうけているか」について把握し、いじめの深刻化を予防します。
  • 子どもの小さなサインも見逃さず、学年間やいじめ等防止対策委員会等の場において気付いたことを情報共有し、よりたくさんの教職員が児童を見守ります。
  • 職員会議(研修会)で、全教職員で配慮を要する児童について、現状や指導についての情報交換及び共通理解を図ります。

③家庭、地域と連携して取り組みます。

  • 日頃から、子どもを中心に据え、保護者、地域との信頼関係を築き、円滑な連携を図るように努めます。
  • 家庭訪問により、子どもや保護者との信頼関係を構築します。
  • 子どもや保護者からいじめの相談があったときは、真剣に耳を傾け、信頼関係を結び、速やかに対応します。
  • 子どもにとって、家庭が「心の居場所」となるために、子どもに寄り添い、子どもの話をじっくりと聞く時間を設けるように促します。
  • 子どもと一緒に会話をしながら食事をする、地域の行事に子どもとともに参加するなど、子どもとの時間を多く持つように促します。

(3)いじめの早期解決のための取組

    いじめ発見・通報を受けた場合には、特定の教員で抱え込まず、速やかに組織的に対応し、被害児童の人格の成長を旨として、教育的配慮の下、毅然とした態度で指導します。

【具体的な取組】

①いじめの解決に向け、取り組みます。

  • いじめられた児童やいじめた児童から事実関係を聴取し、いじめが確認された場合、いじめ等防止対策委員会で情報共有します。
  • 情報収集を綿密に行い、事実確認をした上で、いじめている側の児童に対しては、毅然とした態度で指導にあたります。
  • いじめを発見したときには、学級担任だけで抱え込むことなく、全教職員が対応を協議し、的確な役割分担をして、いじめ問題の解決にあたります。
  • ネット上の不適切な書き込み等については、被害の拡大を避けるため、直ちに削除する措置をとります。
  • 傍観者である児童に対しても、いじめている側の立場と同様であるということを指導します。
  • いじめの再発防止のために、いじめた児童はもちろん、傍観者であった児童に対しても、いじめられた児童の苦しみや痛みに思いを寄せる指導を十分に行い、「いじめは決して許されない行為である」という認識を持たせます。

②いじめを受けた子どもや保護者等を支援します。

  • いじめを受けた児童やいじめを知らせてくれた児童を複数の教職員で見守るなど、安全を確保します。
  • いじめられている児童の身の安全を最優先に考え、スクールカウンセラーや養護教諭と連携を取りながら、心のケアに全力を尽くします。
  • いじめを受けた子どもの保護者に、学校の取組についての情報を伝えるとともに、保護者からは、家庭での様子や友だち関係についての情報を聞き取り、指導に生かします。

③関係機関との連携

  • 学校内だけでなく、各種団体や専門家とケース会議を持つなど、連携・協力して解決にあたります。
  • 必要に応じて、松阪市教育委員会事務局学校支援課、育ちサポート室、松阪市子ども支援研究センター、青少年センター、松阪市こども家庭センターこども家庭係、中勢児童相談所などの関係機関と連携して、いじめ問題の解決を図ります。
  • 犯罪行為として取り扱われるべきと認められる事案については、教育委員会に連絡を取り、警察と相談して対処します。
  • 児童の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれのあるときは、直ちに警察に通報し、適切な援助を求めます。
4 重大事態への対処

(1)重大事態が発生した場合は、松阪市教育委員会に速やかに報告します。
(2)教育委員会と協議の上、専門家を加えた当該事案に対処する組織を設置します。
(3)上記組織により、事実関係を明確にするための調査を実施します。
(4)いじめを受けた児童及びその保護者に情報を適切に提供します。
(5)調査結果を踏まえ、必要な措置を講じます。